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「休む」とは「動かない」ことではない!? 日本人の9割が勘違いしている休息法

自律神経が整えば休まなくても絶好調①

体の不調と心のストレスは直結している

「過剰なストレスは心身をむしばむ」ということは、たいていの人が理解しています。実際に、「眠れない」「イライラする」「胃が痛む」「下痢を繰り返す」といった症状を抱え、それを「ストレスのせいだ」と認識している人も多くいます。

 しかし、そのメカニズムまではわかっていなかったし、どこか漠然としたものでした。だから、「ストレスはよくないもの」と思いながらも、本気で対処法を考えるまでには至りませんでした。

 でも、最近になって脳科学や分子生理学の研究が進むにつれ、ストレスが及ぼす心身への悪影響が明確になってきました。

 一つには、ストレスがかかるとコルチゾールというホルモンが分泌され、そのホルモンが過剰になると脳細胞が破壊されることがわかってきました。脳細胞が破壊されれば、認知症や鬱病にかかりやすくなります。

 さらに、自律神経が乱れ心拍数や血圧、血糖値などが上がることで、血管を傷め、重篤な心疾患、脳疾患を誘発し突然死を招くことも明らかになりました。加えて、免疫力の低下により、がんを悪化させることもわかりました。

 つまり、ストレスとは「ちょっと調子が悪くなる」程度に留まらず、命を奪う可能性があるのです。

 そうした、命に直結するようなストレスは「キラーストレス」と呼ばれ、大きな問題として扱われるようになりました。

 私は、自殺を考えなければならないほどのストレスもまた、キラーストレスの範疇に入るのではないかと思っています。ひどいストレスによって自律神経がめちゃくちゃになれば、死を選択するほどの鬱状態に陥る可能性があるからです。

 厚生労働省が四年ごとに発表しているデータでは、二〇歳以上の男女二〇一九人のうち、四人に一人が「本気で自殺したいと思ったことがある」と答えています。この「本気で」というのが恐ろしいところです。あなたも、いつそういう状況に置かれるかわからないのです。

 自律神経のバランスを乱すストレスの蓄積こそ最も悪質な「疲れ」であり、それを取り除くことが最も重要な「休息」であることを、ここで再度確認しておきましょう。

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小林 弘幸

こばやし ひろゆき

1960年、埼玉県生まれ。順天堂大学医学部教授。日本体育協会公認スポーツドクター。1987年、順天堂大学医学部卒業。1992年、同大学大学院医学研究科修了。ロンドン大学付属英国王立小児病院外科、トリニティ大学付属医学研究センター、アイルランド国立小児病院外科での勤務を経て、順天堂大学小児外科講師・助教授を歴任する。自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手、アーティスト、文化人へのコンディショニング、パフォーマンス向上指導にかかわる。著書に『なぜ、「これ」は健康にいいのか?』(サンマーク出版)『自律神経を整える「あきらめる」健康法』(KADOKAWA)『自律神経が整う時間コントロール術』(小学館)『「ゆっくり動く」と人生がすべてうまくいく』(PHP研究所)など多数。


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